最近、知り合いが柔軟剤を変えた。ちょっとあまい、きつい柔軟剤の匂いは、グレーの布団がかかったダブルベッドを思い出させる。煙草で穴のたくさん空いたグレーのシーツの上には、一面にステッカーが貼られたマックブックに、安物の麻のバッグ、ぬいぐるみ…
素直な人間が好きだ。 これは、自分自身が馬鹿正直で、良い意味でも悪い意味でも嘘を吐けない気性だからかもしれない。もちろん、人を傷つけないためのやさしい嘘、というものが存在するのも知っているし、ある程度歳を重ねてきて、そういう嘘の大事さに気付…
ポッキーの日、もうほんとに凍えそうに寒いなか、わたしときみは結ばれた。「いっしょにコンビニに寄り道するの夢なんだよね」と呟いてみたら、それが実現した。きみが食べていたのはプリンで、わたしはカスタードクリームの入ったたい焼きを食べた。「毎年…
美意識っていつ芽生えるんだろう。人間の考え方っていつ大まかに定まるんだろう。まあ人それぞれなんだと思うけれど、わたしの美に関する概念は中学のとき生まれたものでできているきがする。 わたしの通っていた中学は、「かわいい女のコ」がカースト上位に…
わたしにはなんにもない ほんとに冗談抜きでなんにもないんだ そりゃあ大事なものだとか手離したくないものだとか欲しいものとかだったなら山ほどあるけどさ それはぜんぶじぶんの外っかわにあるもので わたしに在るものじゃなくて だからこそ手離したくなく…
さいきん眠れない夜がつづいている。眠れない、というよりは眠らないだけなのかもしれない。夜ってなににも縛られない、静寂と暗闇の、動物の音と星と月の明かりだけが頼りな、現代における唯一の自然なのかもしれない。あーあ、小難しい文章はきらいなのに…
ひとに嫌われるのって、こわい。とってもとっても、こわい。 だれにも好かれなくていいから、だれにも嫌われたくない。……ほんとうは、できるだけみんなに好かれてたい。 まー、そんなことがむりなのはわかってる。けど、ひとを嫌いになるのが苦手なわたしは…
どこかへ出掛けたい。さいきん切実にそう思う。 あーあ、なんかよく解んないウイルスのせいでこんなことになってて困るな、旅行っていちばんのリセットだって云うのに。 旅行したい欲は、定期的にやってくる。なにもかも投げ出してどこかへ行きたい。自分と…
せっかちなひとはこっから本編 あー。なんかさみしい。 最近、きゅうに暑くなった。梅雨のせいだろうか。じめじめした気温って、まとわりつく髪とか服もうっとうしいけど、なんだか心のなかまでヤなかんじになる。某ウイルスのせいでぜんぜん季節の変わり目…
やっぱり時は情を生む。いい意味でも悪い意味でも。 さいしょはなんてことなかったのに、いつのまにこんなに膨らんでしまったんだろう。誰が膨らませたんだよ、この風船。誰の息で大きくなったんだよ。……たぶんわたし自身だなあ。わたしと、きみと。うーん、…
消化したくてもできない思い出ってある。そもそも、記憶として残ってしまってる時点で消化する気なんてさらさらないのかもしれないけど。 誰かに聞いてほしくて、でも話せる内容じゃなくて、ちょっとでも吐き出さないとしんどいからどうしようもないような記…